大好きなのに。
まるで言い訳のように呟いて、自分に言い聞かせる。
やわらかくあたたかい、
まるで起き抜けの毛布のようにやさしく包んでくれたキミの腕を捜してた。
まだ、忘れてない、消えるはずない。
眩暈がするようなまどろみが明日もあると思ってた。
ぬかるんだ泥水に足をとられる感覚に襲われて、
縋った木は抵抗もなくグニャリと手を阻んだ。
ふと、ボロボロになった腕に気づくと同時に、
こんな腕で手で何を摑みたかったのかがわからなくなった。
やわらかくあたたかい、やさしいキミを
泥にまみれてボロボロな冷たいこの手で包むなんて、
大好きなのに。
ヤマアラシのジレンマ。
近付いたら傷つける。
ね、抱きしめられないけれど、誰のものにもならないで。
キミはボクノモノ。
ココロから愛してるんだ。